こんにちは、大阪京橋数学塾A4Uの六人部です。
今回は大阪府公立高校入試のシステムについて解説します。
保護者の方から
- 「高校入試の合否ってどうやって決めるんですか?」
- 「説明は聞いたことあるけどよーわからん!」
というお声をよくいただきます。
大阪府教育委員会のWebサイトで説明はされていますが、お役所の文書は堅苦しくて読みにくい。
そこで大胆にかみ砕いて一般入学者選抜を説明していきます。
結局のところ、おさえておくべきは合否判定の方法です。
合否は学力検査と調査書の合計で優劣をつけるのが基本となります。
お子さんの友達の保護者にもぜひシェアしてください。
学力検査
学力検査とは、いわゆる「入試」のことです。
基本事項2点
・国語、数学、英語、理科、社会の5教科について筆記試験が行われる。
・各教科とも90点満点で合計450点満点。
基本的には、この2点だけを把握していればOKです。
次に、試験問題についても少々触れておきます。
①【難度分けあり】国語、数学、英語
筆記試験のうち、国語、数学、英語の3教科は受験校によってA・B・Cの3段階に分かれてます。
A(基本的問題)、B(標準的問題)、C(発展的問題)という分け方になっていて、どの問題を受験させるかは各高校の学校長に委ねられています。
すべてがB問題にしないといけないわけではなく、「国語はB問題、数学はC問題、英語はB問題」のように科目ごとにバラバラにしてもいいのです。どの試験問題を使うかは学校が決めます。
では学校ごとにどの問題が選択されるのか?
これは、7月にわかります。詳しくは大阪府教育委員会のWebサイトをご覧ください。
- 大阪府公立高等学校等アドミッションポリシー(求める生徒像)
- 学力検査問題の種類並びに学力検査の成績
- 調査書の評定にかける倍率のタイプ
この3つが発表されます。
②【難度分けなし】理科、社会
理科と社会は、難度により問題が分けられていません。
トップ校を受験する人も中堅校を受験する人も同じ問題を解きます。
英語学力検査問題改革
ここで英語について補足します。
英語の試験については、平成28年度(2016年度)より改革が始まっており、「読む、聞く、書く、話す」の4技能をバランスよく学習することが中学校の学習指導要領で求められています。
これに合わせて入試問題も改革が進んでいるので特に注意が必要です。
詳しく知りたい方は大阪府教育委員会のWebサイトにて「大阪府立高等学校の英語学力検査問題改革について」をご覧ください。
従来の高校入試 | 平成29年(2017年)度改革 | 理想とする形 | |
読む | 60~70% | 50% | 25% |
書く | 20~30% | 30% | 25% |
聞く | 10~20% | 20% | 25% |
話す | 25% |
上の表のように最終的には学力検査問題が4技能25%ずつの配分になる事を理想に掲げています。
しかし、実際は『話す』にかなりの難(明確な採点基準、採点法などの問題)があるので、25%ずつバランスよく4技能になるの現実的に難しいはずです。
とはいえ、改革の方向に進んでいるという事は意識しておきましょう。
要は急に何かがガラッと変わることもありうるのです。
既に読むべき英文の量は劇的に変化しています!
関連記事:『知ってますか?大阪の公立高校入試で出る英単語って…』
検定試験を学力検査得点として換算
いくつかの外部検定試験は4技能を問うものであり、学習指導要領と目指すところが同じであるという理由から検定の結果を学力検査の得点として換算してもらえます。
今のところ『TOEFL iBT』『IELTS』『英検』の3つの検定試験が対象になっています。
何点に換算されるかは下記の通りです。
換算表
TOEFL iBT | IELTS | 英検 | 読み替え得点率 | |
大阪府立高校入学者選抜「英語」 | 60点 | 6 | 準1級 | 100% |
50点 | 5.5 | 無し | 90% | |
40点 | 5 | 2級 | 80% |
(注)学力検査が100点満点ではないため、読み替えは得点率で表記しています。
例えば英検2級を取得しているとすれば、英語の学力検査の点数は
(90満点)×0.8 = 72点
として扱ってくれます。
もちろん当日の学力検査がそれよりも高い点数であれば、そちらが英語の得点として採用されます。
最低でも72点が確定するのは大きいので、検定は持っている方が有利と言えるでしょう。
調査書
調査書というのは俗に内申と呼ばれているものです。
3年間の成績、つまり通知表を点数化したもの。
一昔前と違って1、2年の成績も関係してきます。
基本事項
・国語、数学、英語、理科、社会、技術家庭、音楽、保健体育、美術の9教科各50点ずつで合計450点満点。
・各教科とも (3年の評定)×6 + (2年の評定)×2+(1年の評定)×2 = 50点
上の計算式は5段階で評価されたものでの計算です。
くどいようですが調査書において注意しておくべき点はまず、1、2年の評定も成績もに入るという事。
更に、3年の評定は1、2年の評定に比べて扱いが3倍!
3年で好成績をゲットすればデカいという事を覚えておいて下さい。
1、2年の成績だけで調査書450点満点の4割を占めているというのもポイントです。
3年生は今から1、2年の成績をどうこうするのは無理ですが1、2年生は今から入試を意識して動いておくと良いですよ。
総合点の算出法
上で説明した学力検査と調査書の合計が総合点となります。
基本総合点
(学力検査450点満点)+(調査書450点満点)=(総合点900点満点)
基本と書いたのには理由があります。
この点数に学力検査と調査書のどちらを重視するかの倍率タイプを掛けたものが合否判定に使われる真の総合点となります。
倍率タイプ | 学力検査の倍率 | 調査書の倍率 | 総合点 | (学力検査):(調査書) |
Ⅰ | 1.4倍(630点) | 0.6倍(270点) | 900点 | 7:3 |
Ⅱ | 1.2倍(540点) | 0.8倍(360点) | 900点 | 6:4 |
Ⅲ | 1.0倍(450点) | 1.0倍(450点) | 900点 | 5:5 |
Ⅳ | 0.8倍(360点) | 1.2倍(540点) | 900点 | 4:6 |
Ⅴ | 0.6倍(270点) | 1.4倍(630点) | 900点 | 3:7 |
大阪府立の高等学校の一般選抜は上の表の通りです。
大阪市の教育委員会では学力検査と調査書の比率9:1、8:2、2:8、1:9も定めています。
この部分はあまり難しく考えずに府立高であれば表の通り、市立高であれば表に加えて更に極端な比率も有り得ると考えておいて下さい。
中堅以上の高校になってくると軒並み倍率タイプⅠの選択となる傾向があります。
実力重視ということですね!
各高校の倍率タイプは学力検査と同じく7月頃に大阪府公立高等学校等アドミッションポリシー(求める生徒像)並びに学力検査問題の種類並びに学力検査の成績及び調査書の評定にかける倍率のタイプが発表されますので、こちらも詳しくは大阪府教育委員会のWebサイトをご覧ください。
合否判定
さて総合点を算出すればいよいよ合否判定です。
総合点の高い者から順に合格が決まっていきます。
ただし、注意点が2つあるのでおさえておきましょう。
注意点2点
- 募集人員の90%以内の順位に入れば合格確定
- 募集人員の90%~110%の順位はボーダーゾーンと呼ばれ、特殊な合否判定になる。
合格確定ライン
文句なしの合格が決まる合格即確定ライン。
それは募集人員の90%にあたる順位内に入った場合です。
例えば、募集人員(定員)が400人であればその90%は360人ですから、総合点で360位以内に入れば合格確定となります。
このラインに入る事を目指して受験生は日々努力を重ねることになるわけですね。
なんせその順位内に入ってしまえば確実合格なのですから。
さて、ではそこを外れた場合はどうなるのかを次に記します。
ボーダーゾーン
総合点で順位が募集人員の90%~110%の受験生はボーダーゾーンと呼ばれる群になります。
募集人員が400人の場合、総合点で361位~440位までの人たちです。
このゾーンに入った場合は各学校が定めるアドミッションポリシーに照らし合わせ極めて合致する受験生から合格が決まっていきます。
アドミッションポリシーとはその学校が求める生徒の理想像のことです。
つまり、学校が欲するような人材であれば、総合点で負けていたとしても合格できる可能性が出てきます。
逆に言うと総合点で勝っているのに逆転されて不合格になる可能性もあるという事です。
生徒会や学校行事に率先的に取り組んできたり、部活動で良い成績を残していたり、その他諸々が評価の対象になります。
詳しくは大阪府のウエブサイトにて選抜の方法をご覧ください。
自分が逆転の恩恵を受けられれば良いのですが、逆転されて悔し涙を飲む可能性もありますから出来ればこのゾーンに入る事が無いように合格を決めに行きましょう。
とにもかくにも合格するには最低でも募集人員の110%以内の順位に入らねばならないという事になります。
アドミッションポリシーに関しましては大阪府のウエブサイトにて毎年7月頃に発表される大阪府公立高等学校等アドミッションポリシー(求める生徒像)並びに学力検査問題の種類並びに学力検査の成績及び調査書の評定にかける倍率のタイプをご覧ください。
まとめ
大阪府公立高校の一般入学者選抜について解説させていただきました。
入試だから頑張らないと!と意気込んでも、どのような戦いなのかを知っていなければ「何を?」「どう?」頑張れば良いか分かりませんよね。
調査書の点数が足りないから日頃の授業をしっかり取り組んで評価をもらわなければならないのか、はたまた実力が足りないからもっと問題数をこなさなければならないのか、それはどう入試を戦うかのプランがあってこそです。
プランを立てるにはルールの把握が重要ですね。
ルールも知らずにやみくもに頑張るのは効率が悪いです。
サッカー選手が上半身ばかり鍛えてたら、「あれっ?」と誰もが思うはず。
しっかりと大阪府公立高校入試一般入学者選抜のルールを理解して適切な努力を重ねられるようにしましょう。