京橋数学塾A4U代表郡山慶徳です。

この時期全国の大学入試問題を見ることが多く、目に止まった面白そうな問題をご紹介いたします。

今回は小論文なのですが、あなたはどう答えますか?

小論文なので明確な正解は無く、理路整然と論述出来れば得点することができます。

その際にちょっとした医学の知識が有ればより良い解答が書けそうだったのでご紹介したいと思いました。

問題

高校の授業の一環として稲刈りの体験作業があり、あなたはそれに同伴した指導者です。農家の高齢のご夫婦が、お礼にとおにぎりを握って持ってきてくれました。しかし多くの生徒は知らない人が握ったおにぎりは食べられないと、たくさん残してしまいました。これについてあなたはどう考え、生徒や農家の方とどのように話しますか。1000字以内にまとめなさい。

(2019年 横浜市立大学医学部小論文より)


聞かれたことに答える

まず、論述する上で大切なことは聞かれたことにちゃんと答えることです。

どれだけいい内容であっても聞かれたことに答えていないとNGなのです。

ここでは、

あなたはどう考え

生徒や農家の方とどのように話しますか

この2点について論述する必要があります。

そして意外と忘れがちなポイント、それは自分の置かれた立場です。

ここでは、指導者として意見を述べよと言っています。

これは、医師になってから患者さんの心情と医学的知見をどのようにすり合わせ、どのように相手に伝えるかを聞いている問題だと思います。

ですので、一方的に意見を押し通すのでは無く相手の思いを斟酌することも大切になってきます。


おにぎり問題とは

前置きが長くなってしまいましたが、ここでは論文の書き方では無く、今回の問題を解く上で知っておきたい知識をお伝えしたいと思います。

知らない人が握ったおにぎりを食べることに抵抗を示す人も多いと思います。

ここで考えて欲しいのは、

なぜ

ということです。

なんとなく気持ち悪い。

とか、

どんな状況でおにぎりが作られてるかどうかわからない。

とか、

食中毒になりそうで怖い。

と言った意見がメインとして出てくるのではないでしょうか。

心理的な問題は個々の意見があると思うので、食中毒問題についての知識を少々。

これは医学部に入ってから、医師になってからも役立つ知識です。


これは何に見えますか?

黄色いツブツブ?

ブドウ?

これがアノ有名なStaphylococcus aureusです。

ナニソレ?

ですよね。

日本語では、黄色ブドウ球菌

と呼ばれています。

黄色いブドウっぽい細菌そのまんまですね。

でも紫色なのは紫色に染めてるからで本当は黄色です。

形がブドウに見えたんでしょうね。

肉眼で見るとこんな感じです↓

割とどこにでもいる細菌で、手や鼻の中にもいます。

この黄色ブドウ球菌がおにぎりの食中毒の原因になることがあります。

本当の原因はこの細菌が作るエンテロトキシンという毒素です。


さて、お話を論文に戻すと、

稲刈実習

という状況でした。

これは9月から10月であると考えられ、この時の気温は30度前後。

細菌の増殖至適温度を知らなくても、この時期の気温なら食べ物は劣化しやすいことがわかりそうです。

そして細菌自体は高温に弱いということも知っておいて欲しいです。

ですので炊き立てのご飯であればまず問題はないということです。

おにぎりを出された時に、おにぎりが作られてかなりの時間が経ったと考えられる場合、食中毒の危険性は無いとは言い切れないですし、炊き立てをすぐにおにぎりにして握ってくれている場合はほぼ問題は無さそうです。

いつ、どのようにして作られたかということをちゃんと把握することが大切ですね。

科学的な知見をもとにし、様々な状況を判断してロジックを構築していくという作業は今後とても大切になってきます。


現在の医療現場ではEvidence Based Medicine(EBM)ということがよく言われます。

証拠に基づく医療という意味なのですが、こういう理由があるからこうすると言ったように、何かを行う時には明確な理由が必要ということです。

今回の小論文では一般の学生の知識として黄色ブドウ球菌の存在を挙げることは難しいと思います。

しかしながら、論述する上で科学的なevidenceを出しながら小論文の内容を構成していくと、採点する側に対して、

よくわかっているな!

という印象を与えることができると考えています。

採点者側の人々は日々evidenceに基づく論文等を目にしているので、その形式に近づけて書くと読みやすいのです。

Evidenceとなる知識は膨大なので全てを把握することは難しいと思いますが、日々様々なことに興味を持って知見を広げていって欲しいと思っています。

そして、今日の知識がその一端を担えれば幸いです。

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